2021/10/26 12:58


大学時代の同級生にこの前久しぶりに会って、販売中の「itsuki卓上ミニカレンダー」の話になった。経緯をざっくりと話して、実際の物を見せて、そのあとに同級生から「みんなにこれを買って欲しいと思わんの?」と言われた。「ビジネスとして成功したいなら、できる限り多くの人に買ってもらえるように施策を打っていくべきじゃないの?」そんな風に諭された。もちろん私のことを思って言ってくれていて嬉しい限りなんだけど、でも私は、みんなに買って欲しいとは思わない。正確に言うと、「できる限り多くの人に見てはもらいたいけど、できる限り多くの人に買ってもらいたいとは思わない。」ということだ。

 

そりゃ多くの人に買ってもらえたら嬉しい。売り上げが伸びたら嬉しい。でも多くの人が買ってくれるかどうかは、あくまで結果論であるべきではないかなと思っている。買うかどうかはひとりひとりの人が自分で判断すべきことだし、価値観を尊重したい。インテリアとして表現したいことは人それぞれ違うし、好みとか、こんな風にしたいという想いも、もちろん人それぞれ違う。そこを無理矢理変えさせようとは思わない。もちろん私は自分の作ったカレンダーに自信を持っているけども、他にも素晴らしいカレンダーはたくさんある。パイの奪い合いをしたい訳じゃない。むしろ広げあっていくべきだ。もっと多くの人にカレンダーがカレンダーとしてだけでなく、ものとしての定義を拡げて、インテリアとして素敵なものだと認識してもらえればそれは可能だと思う。

 

私のプロモーション活動の目的は売り上げの最大化というより、より多くの人に見てもらうことだ。甘い考えかもしれないが、この想いは忘れないようにしたい。「itsuki卓上ミニカレンダー」が選択肢のひとつになってくれたらそれで充分だ。

 

選択肢のひとつになるためにはなにが必要か。制作中にももちろん考えていたことだけども、やっぱり他のカレンダーとの差別化だと思う。他のカレンダーと比べた時に、このカレンダーがどんな個性を持っているかだ。素材の選定や、細部のデザインにももちろんこだわっているけれど、それはまた別の記事に譲るとして、主な差別化のポイントはふたつある。サイズ感とカラーバリエーションだ。手のひらサイズのカレンダーで、これだけのカラーバリエーションがあり、なおかつ落ち着きのある雰囲気があるものは他にないと思っている。

 

個性というものは、制作者の内側から出てくるようなものというイメージがあるかもしれない。でも私は、個性は比較により作られる側面もあると思っている。見る側は比較することによってそのものの個性を認識するからだ。それに個性は勝手に滲み出てくるものだとも思う。このカレンダーは私の考える美しさを追求したものではあるが、いろんなカレンダーを比較して得たこともヒントにして制作にあたった。繰り返しになるが、選択肢の一つになることが目標である。まずは多くの見て欲しい。買う買わないは別として、何かを感じ取ってもらえたら幸いである。何を感じ取るかもまたその人の自由だ。